制御と検出の融合 ハイブリッドセンサ「リクレッサ」
 

技術紹介

センサ

 光電センサのような送受信を行う従来のセンサは、送信量(Vt)を固定し、受信量(Vr)から伝達率(β)を検出します(β=受信量/固定の送信量)。
 センサでは信号が送られた先の受信側から検出信号を出力します。

センサ.bmp
センサ

 しかし、

  1. 送信量が多すぎて受信出力がクリップしたり、逆に送信量が少なすぎて受信出力がノイズにも埋もれたりすると、正しく検出出来なくなります。そのため設置時に設置距離等に応じて送信量の調整が必要になります。
  2. 送信量が固定される為、消費電力が多い。
  3. β は距離 d に反比例的な曲線(1/dに近い特性)の為、検出出力からの距離換算処理による遅延が大きくなり、早い変化の検出に向かない。
という課題が有りました。

リクレッサ (Re-CreaSor)

 リクレッサは、受信量(Vr)を固定し、送信量(Vt)を変化させることで、送信量から伝達率の逆数を検出します(1/β=送信量/固定の受信量)。
 リクレッサでは信号を送る送信側から検出信号を出力します。
 又、制御出力として送信エネルギーの変化を利用出来ます。

リクレッサ.bmp
リクレッサ

 これにより、従来センサの3つの課題が全て解消します。

 1. 広動作範囲: 
  受信量が固定なので受信動作範囲の制約が無くなり、動作範囲が広くなります。

 2. 低消費電力: 
  送信量がβに応じて自動的に変化するので、通常時に送受信間を遮らずβを高い状態(=少ない送信量)で使う事で、実使用時の消費電力が少なくなります。

 3. 距離直線性が良い: 
  出力は距離 d に正比例的な特性になり、抵抗値を変える事で直線領域を作れ、直線領域で使えば距離換算処理の遅延が少なく、早い変化の検出が可能になります。

 以下では、3つの項目毎に詳しく見てゆきます。

1. 広動作範囲 ➡ 設置時送信量調整不要

 送受信間への侵入物の有無検出を想定したデモ用試作品Azalea(アゼリア)の、中距離用ビームセンサと中距離用ビームリクレッサの距離特性(実測値)を以下に示します。

注)送信側のビーム光源には、距離特性を測定し易い中距離用とする為、ある程度拡がりの有るビームとなる様に、懐中電灯のようなリフレクタ付きLEDを使用しています。

Azareaビームセンサ距離特性.bmp
ビームセンサ

 ビームセンサでは送信電流量に応じて距離特性が変化します。
 送信電流が少ないと侵入物が無くても遠距離では緑点線のDark Current(暗電流)の上限値以下となり、検出信号がDark Current(暗電流)に埋もれて検出出来ない可能性が有り、遠くまで検出する場合は送信電流を増やす必要が有りますが、今度は近距離でクリップしやすくなります。
 従って、設置時に設置場所で設置距離に応じた個別の送信量調節が必要になります。

Azareaビームリクレッサ距離特性.bmp
ビームリクレッサ

 ビームリクレッサでは送信電流量が距離に応じて自動的に変化するので、設置時に調整する必要は有りません。受信電流はRFEにより常にDark Current(暗電流)を上回り、かつ、クリップもしない様に固定されますので、受信側は検出動作の制約にはなりません。上図から分かる様に0-3mのどの距離でも問題無く動作します。更にずーっと遠い距離(10m位?)になると、今回のRFE回路の駆動能力(40mA)が制約となって検出出来なくなりますが、駆動能力を上げて送信素子の放熱も十分に行えば、更に遠くまで動作可能です。

2. 低消費電流 ➡ 省エネ(地球温暖化防止)/バッテリ駆動時間増加

 ビームセンサでは設置距離に応じて送信電流を設定する必要が有りますが、設定してしまえば送信電流は距離に関係無く常に一定で、使用する最大距離で十分検出可能な多めの電流が常時流れており消費電力が大きいという問題が有ります。

 ビームリクレッサでは設置距離に応じて送信電流がRFEにより自動調整され、通常使用時に送信電流は少なく低消費電力(省エネ)です。これは、ビームリクレッサをバッテリー機器で動かさないといけない様な事態(急な停電等)でも、ビームセンサを使う時より長い時、検出動作が維持される事になります。

※)省エネ用途に「リクレッサ」を応用したい方は、是非、当社へご相談下さい。地球温暖化防止に貢献する為、優先的に対応させていただきます。

3. 距離直線性が良い ➡ 高速で高精度な距離測定が可能

 反射型センサの距離特性は、距離(d)に反比例的な曲線(1/dに近い特性)になりますが、反射型リクレッサでは反射型センサの逆数特性(dに近い特性)となる為、距離に正比例的な特性となります。但し、反射型センサの特性は完全に反比例ではない為、単純にリクレッサに変えただけでは完全に直線の正比例特性とはなりませんが、回路定数を調整する事で下図実線の様に直線領域を作る事が可能です。

ReflectiveSensor.jpg
反射型リクレッサ距離特性例

 反射型センサシステムで直接検出する値は距離その物ではなく反射率になりますので、距離特性を利用して反射率の測定値を距離に換算する事になります。距離測定可能なデバイスとしては、他にTOF(Time Of Flight)やPSD(Position Sensitive Detector)が有りますので、それらと比較したのが表6になります。

項目 TOF PSD 従来センサ リクレッサ
非接触
低遅延 ×
(>30ms)
×
(>30ms)

(<1ms)

(<1ms)
無段階
直線性 ×
距離センサ

 TOFやPSDでは、パルス信号を送信してから受信するまでの時間を測定し、伝送媒体の速度を使って距離を求めます。その為、測定用のパルス幅と距離換算の計算でそれなりに処理時間が必要です。楽器の連続的な演奏操作やTVゲームのコントローラー操作を検出する場合等、高速な操作を検出する用途には向きません。

 従来センサでは直接的な遅延は十分短いのですが、距離特性に直線性が無いので測定値から距離を計算する処理が必要になります。そして、それをサンプリング間隔毎に行うとなると、結構大きな処理量となります。しかも同時検出数が多くなると処理は更に大変になります。その為高速な距離測定に使われる事は少なく、使う場合でも何らかの物理的な工夫で距離特性の直線化を行い処理負荷を下げて使っている様です。

 リクレッサでは直線的な距離特性領域を作れる為、測定値から距離を求める処理量が少なく、高速検出用途への応用が期待されます。

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